2023年9月5日火曜日

ドン・ギリスのラジオ番組

1964年に、ドン・ギリスは週一で自作を紹介するラジオ番組をホストしていたのですね。すごいや。

https://www.unlockingtheairwaves.org/programs/the-music-of-don-gillis/

トッホの珍しい録音集

In Memoriam Ernst Toch.  Educational Media & The Ernst Toch Fund of the UCLA Foundation EMA-101 (LP).
Pinocchio Overture.  Berlin Radio Orchestra; Ljubomir Romanski, conductor.
Big Ben Variations.  RAI Orchestra; Rudolf Kempe, conductor.
First Symphony, Op. 72 (1949/50).  Vienna Symphony Orchestra; Herbert Haefner, conductor.

エルンスト・トッホ (1887-1964) はウィーン生まれの作曲家だが、ユダヤ系であり、ナチスが政権を取るとともにアメリカに亡命。南カリフォルニア大学にて教鞭を取り、映画の音楽も作曲している。

このレコードは、いまはもうなくなってしまったボストンの中古レコード店 Looney Tunesで購入したもの。ヨーロッパで録音されたモノラルの、しかし名前の知られた指揮者・オーケストラによって録音されたもの(おそらくライブ録音ではないかと思う)。

《ビッグベン変奏曲》は、学校のチャイムのメロディにもなっている有名な旋律をテーマにした変奏曲。レオン・ボッツスタイン指揮NDR交響楽団のやジョン・ヴィクトロン・ユー指揮フィルハーモニア管弦楽団が録音したCDがあるようだ。ルドルフ・ケンペ指揮っていうのがすごいね。




2017年8月24日木曜日

The Village Voice が紙媒体での発行を休止

The New York Timesの記事で見ました。NY周辺の現代アートを追うのに便利なタブロイド紙(という扱いで良いのかな?)のThe Village Voice が紙媒体での発行をやめるという記事がありました。

フロリダ在住時には、時々買っては記事を読んでいました。さすがにこういうのを日本でほいほい読むという感じではなかったのですが、今後はオンライン上で展開してくのでしょうか?

After 62 Years and Many Battles, Village Voice Will End Print Publication

ブルックリン音楽アカデミーのアーカイヴ

ブルックリン音楽アカデミー (Brooklyn Academy of Music) は現代アート・シーンを考えるのに見逃せないアート・センターではないかと思いますが、その貴重な資料がインターネット上で公開されるということが Open Culture で記事になっていました。

Leon Levy Digital Archive


2017年8月22日火曜日

Menotti: The Boy Grew Too Fast

TER Limited CDTER 1125.


Menotti, The Boy Grew Too Fast.  TER Limited CDTER 1125.

メノッティ氏同席のもとに録音とあるCD。42分あまりの短い子どものためのオペラ。体が大きいために子どもたちから嫌がられた転校生。先生の勧めで発明家に頼んで体を小さくしてもらうことに。ただしみんなと歩調を合わせないと元に戻り、もう一度小さくはできないという条件がついている(他の生徒が「オペラが嫌い」といった、自分も嫌いなフリをせよというような感じ)。同伴した先生は、発明家が少年にこの条件を告げたときは外にいたため、この経緯は知らないことに)。

学校に小さくなって戻ってきた転校生はみんなから歓迎されて良かったと思っていたら、突然テロリストがやってきた。先生は「子どもたちを助けて下さい」と懇願。「だれか子どものうち一人を残したら他の生徒は解放してやる」とテロリスト。先生は「誰か志願してくれないか」と言うが、子どもたちはもちろん嫌だという。転校生は発明家の忠告を無視し(みんなと歩調を合わせず)、自分が人質になると宣言。

もちろん発明家の忠告どおり、転校生は元のデカい自分に戻ってしまうのだが、大きくなった彼は、なんとテロリストをやっつけてしまった。

ということで、クラスから今度は英雄扱いされ、すべては一件落着。先生は自分は自分であることを大切にしなさいという教訓を述べてメデタシメデタシ。

他愛もない、ソープオペラの一エピソードみたいな内容だけど、発明家は(退屈な)オペラをずっと聞いてて突然会場から登場したり、少年が小さくなるシーンでは電子音が使われたり、いろいろ工夫ありで、なかなか楽しい内容だった。こんなオペラも作ってるのね。へええ。

そういえばメノッティは《助けて!助けて!宇宙人がやってきた!》でも電子音を使ってたね。


2017年7月21日金曜日

ピストン:組曲《不思議な笛吹き》(フィードラー、1939年録音)

アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス管弦楽団(1939年録音) 米Victor 12595~96(M-621)(SP2枚)、グラモフォン EB-142~13(SP2枚)、Camden CAL-145(LP)(1939年6月29日録音)

バレエ《不思議な笛吹き》の初演者による、組曲版の録音。パレードのところの騒ぎがすごい! YouTube動画に上がっているのは、おそらくCamdenのLPだろう。

2017年2月27日月曜日

ピストン:ヴァイオリン協奏曲 (バスウェル、クチャール、1998年録音)

ピストン:ヴァイオリン協奏曲第1番 (1939)、ヴァイオリンと管弦楽のための《ファンタジア》 (1970)、ヴァイオリン協奏曲第2番 (1960) ジェームズ・バスウェル(ヴァイオリン)、テオドレ・クチャル指揮ウクライナ国立交響楽団 Naxos 8.559003 <録音=1998年5月>

Naxos Music Libraryリンク→http://ml.naxos.jp/album/8.559003

"Allegro energico" とあるように、第1楽章は、いきいきとしたリズムの第1主題と、弦楽器としてのヴァイオリンの叙情的な側面を意識した第2主題からなるソナタ形式の楽章といったところか。1939年作曲ということだけど、いま聴いても、みずみずしい。古典的な形式は意識しているのだけれど、堅苦しい感じではない。

第2番の協奏曲は、初期よりも叙情的になっているのかな?


2017年2月23日木曜日

ウィリアム・シューマン:交響曲第3番 (オーマンディ、米Columbia録音)

ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団 米Columbia ML 4413(LP)

1951年3月11日録音の、モノラルLP。第3交響曲の商業録音としては、最初のもののようだ。しかし1960年に廃盤になって以来、再発売もない。 LPの両面に同曲のみを収録した贅沢なカット。

実はこのLPを入手するまで、ずっと新旧のバーンスタイン盤で慣れてきたところがあって(シカゴ響Boxのスラトキンのは聴いていない)、最初は彼の演奏 との違いばかりが耳に入ってきた。またオーケストラの技術もパワフルなニューヨーク・フィルほどなくて、シューマン作品には多少辛いものを感じたのも正直なところ。しかし何回か聴いてみると、少しずつオーマンディの解釈が解きほぐされてくるようではある。バーンスタインの演奏をもっと忘れることができれば、より容易に受け入れることも、あるいは可能になるのかもしれない。(02.6.15)

(02.7.5. 追記)だんだん耳が慣れてきたのか、この演奏も気に入るようになった。ライブでこのくらいの演奏が聴けたら、かなり満足すると思う。

(2016.2.13.追記 YouTubeにアップロードされていたので、以下に貼り付けておく)。


2017年2月22日水曜日

ガーランド:《マタチン・ダンス》

ピーター・ガーランド:《マタチン・ダンス》 ロナルド・エリクソン、ジョン・テニー(ヴァイオリン)、ピーター・ガーランド(瓢箪の鳴り物)Cold Blue E6(25cm LP)
現在はこちらのオムニバス盤に収録 → Cold Blue CD0014 ("The Complete 10-inch Series from Cold Blue")

ガーランドというと、アメリカ先住民の音楽に興味を持っている作曲家ということを聞いている。この作品に使われているシャカシャカした音の楽器も、先住民が使っているものではなかっただろうか。しかし音楽語法的には、ライヒの《テヒリーム》を思わせるような部分と、漠然とした民謡風の部分が続いていくといった印象。きれいで聴きやすい音楽だ。(2000.4.19.)



2017年2月20日月曜日

作曲家の覚書:フィリップ・グラスとオペラ制作

A Composer’s Notes: Philip Glass and the Making of an Opera.  Orange Mountain [DVD].

グラス第3作目のオペラ、《アクナーテン》の制作過程を追うドキュメンタリー映画(モノラル)。かつてVAIからビデオが出ていたが、グラス自身のレーベルOrange MountainからDVD化された。

映画はまず、グラスの音楽語法に大きく影響したクラシックの基本的トレーニングやインド音楽との出会い(特に作曲家と演奏家の関係の違 い、「劇音楽(舞台音楽)」の発想など)などがインドの美しい映像を通して紹介されたあと、オペラにたどり着いた経緯が述べられる。そして前2作から学ん だことを下地に第3作をどのように作っていったのかが、インスピレーションの段階から丁寧に描かれていく。エジプトに実際に行って得たこと、エジプト学者 からアクナーテンが実際に読んだと言われる歌のテキストをもらったこと、様々な演出家や指揮者との打ち合わせ、意見の交換など、興味深い内容に溢れてい る。

オペラ《アクナーテン》の制作過程を映像とともに追うと、グラスがどのように共同作業として1つのプロダクションを作っていくのかが分 かるし、オペラに取り上げた題材に対する柔軟な考え(あるいは「つめ」の甘さ?)が垣間見られたりする。とくに演出家から浴びせられる厳しい質問にグラス がたじたじになる場面があり、そこで彼がむしろ演出家から意見を自由に求めていく態度が見られる。彼は音楽表現との関連がステージの演出に見られれば、そ の解釈は認められるという考えをもっているようだ。

したがってこのビデオに収められているシュトゥットガルトとヒューストンのプロダクションは、これが本当に同じ作品なのかと思えるほど 違っている。政治的思想が暗示されていることを前面に打ち出し身振りの一つ一つまで細かく演出する前者と、音楽と歴史的題材をもとに即興的に物語りを紡ぎ 出す後者。それが結果としてどのように舞台を作り上げたのかということかが分かる。

このオペラが成功だったのかどうかは、初演後の大きな拍手とブーイングの錯綜からも察せられるように議論が分かれるだろうが、これがグラスにとって初めてオーケストラを使って本格的に書いたオペラであることから、作曲家自身にとってはこの作品が大きな節目を作っていたらしい(前作の《サチャグラハ》にもオーケストラを起用したが、あれはグラス・アンサンブルのための音楽をオーケストラに直しただけのものだったという。また、物語が単純なファンタジーとして音楽とともに投射されたことに不満もあったようで、《アクナーテン》では、もっと継続的な物語の流れを前面に打ち出したかったらしい)。

グラスの作品はオーケストラにとって、とても挑戦的だったらしい。何度も同じ音符を繰り返し演奏することにより、演奏家が集中力を保持することができなることが多いという。オランダでは、あまりにも演奏しにくい音楽ということで裁判沙汰にもなったらしい(映画ではヒマそうに雑誌のページ をめくっているコントラバス奏者も写っているが)。
とはいえグラスの音楽は、この《アクナーテン》のように物語や映像の補助があると接近しやすくなってくる(あるいはビデオでは長いオペ ラが数分刻みの抜粋になっているから我慢できたのかな?)。一度このビデオを見て、実際にそれを体験する価値もあるのではないだろう…か。

以下、YouTubeにあった抜粋の動画である。




(1998.8.18.執筆、2005.5.3. 改訂ならびに画像追加、2014.12.10. YouTube動画追加、2016.8.18. DVDへのリンク付加ならびに動画変更、2017.2.15. 情報追加)

2017年2月16日木曜日

ミルトン・バビット:『ソロと小デュエット』 現代音楽グループ

ミルトン・バビット:『ソリ・エ・ドゥエッティーニ (独奏と小二重奏曲)』 現代音楽グループ

《アラウンド・ザ・ホルン》、《ホワールド・シリーズ》《フルート独奏のみ》、《くどい小言》、《ビートゥン・パス》、《プレイ・イット・アゲイン・サム》《独奏と小二重奏曲》、《メリスマータ》 ザ・グループ・フォー・コンテンポラリー・ミュージック

NMLリンク → http://ml.naxos.jp/album/8.559259

バビットの音楽は漫然と聴くとランダムな音の連続のように聴こえる。精巧なセリエリズムよって音が配列されながらも不協和音程の跳躍が多く、一聴しただけでは拍節感がつかみにくいからだろう。だが音にじっくりと立ち向かうと、一音ごとに細かく指示されたニュアンスに驚嘆し、突然その音楽が耳に入ってくることもある。ウィリアム・パーヴィスによる《アラウンド・ザ・ホルン》 (アメリカのスポーツ番組のタイトルでもある) は楽器演奏の難しさを考えれば、かなりの超絶技巧曲になるし、スネア・ドラムのみによる《お説教》は、その背後にある音楽理論を考えるほどタイトルがユーモラスに感じられる。ギターやピアノなどの例外はあるが、ほとんどが単音を主に発する楽器なので、音の重なりよりは線的要素が強調される傾向がある。おそらくバビットをそれを意識して創作に挑んだのだろう。短い作品も多いのでバビット入門には適したディスクといえるのかもしれない。

なお、本CDは、かつてKoch Internationalからリリースされていた音源を移行発売したものである。(2006年7月執筆、2017.2.25. 追記)



2017年2月15日水曜日

バーンスタイン:ウェスト・サイド・ストーリー関連の新著

Julia Foulkes, A Place for Us: "West Side Story" and New York.  The University of Chicago Press.

バーンスタインの『ウェスト・サイド・ストーリー』関連の本は何冊かすでにありますが、ご参考に。

http://press.uchicago.edu/ucp/books/book/chicago/P/bo21447457.html

A Place for Us: From its Broadway debut to the Oscar-winning film to countless amateur productions, West Side Story is nothing less than an American touchstone—an updating of Shakespeare vividly realized in a rapidly changing postwar New York. That vision of postwar New York is at the heart of Julia L. Foulkes’s A Place for Us. A lifelong fan of the show, Foulkes became interested in its history when she made an unexpected discovery: scenes for the iconic film version were shot on the demolition site destined to become part of the Lincoln Center redevelopment area—a crowning jewel of postwar urban renewal. Foulkes interweaves the story of the creation of the musical and film with the remaking of the Upper West Side and the larger tale of New York’s postwar aspirations. Making unprecedented use of director and choreographer Jerome Robbins’s revelatory papers, she shows the crucial role played by the political commitments of Robbins and his fellow gay, Jewish collaborators, Leonard Bernstein and Arthur Laurents. Their determination to evoke life in New York as it was actually lived helped give West Side Story its unshakable sense of place even as it put forward a vision of a new, vigorous, determinedly multicultural American city. Beautifully written and full of surprises for even the most dedicated West Side Story fan, A Place for Us is a revelatory new exploration of an American classic.

2017年2月14日火曜日

ガーシュイン:《ラプソディ・イン・ブルー》ほか (マズア、小澤、ダウンズ、1970・77年録音)

《ラプソディ・イン・ブルー》ジークフリート・シュテエキヒト(ピアノ)、クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、《パリのアメリカ人》小澤征爾指揮サンフランシスコ交響楽団、ピアノ協奏曲へ調 ロベルト・シドン(ピアノ)エドワード・ダウンズ指揮ロンドン交響楽団 Deutsche Grammophon [Resonance] 427 203-2 (下・左側)

関内のディスクユニオンの安売りコーナーにて「クルト・マズアがガーシュインを振っているの?」と思って買ってきたのが下の左側のCD(割引10%を合わせて279円なり)。まだジャズが生まれたばかりで、明確にスイングなり、どろっとしたブルース感覚が前面に出ない、むしろポピュラー音楽のメインストリームに躍り出ていた頃のジャズとしては、なかなかスタイリッシュに演奏されていて、好感触。《ラプソディ・イン・ブルー》のフレッシュさが残っているというか。HMVのサイトを見たところ、録音は1981年 ライプツィヒとなっていた。このCDには書かれていない。著作権表示だけみると1977年になってしまうけど…。

小澤/サンフランシスコ響は、もうちょっと録音が後ということもあるのか、弦楽器に厚みがあり、後半の盛り上がりなども含めて、なかなかホットな感じ。もっと楽しめる演奏はあるかもしれないけど。

ここまでの2曲は、下の右側のCDでも聴ける(下右側には小澤の《ウェスト・サイド物語》の<シンフォニック・ダンス>が入っていて、これはなかなかの名演)。

ピアノ協奏曲へ調は、冒頭から慎重というか「ドン臭い」感じがした。録音もちょっと冴えないねえ。それでも勿体ぶったピアノ入りからしばらく進んでくると、少しずつ「こういう世界もアリかなあ」という感じにはなってきた。ただ面白いのは第2楽章で、トランペットなんかは、なかなか良いニュアンスだし、終盤のクライマックスは「こんなに盛り上げるのか!」というところがあった。エネルギッシュながら切れ味よく、そして重くない第3楽章も充分楽しめる。第1楽章の冒頭を聴いたところでCDを止めないで良かった。